22.7.08

最近読んだ本とその覚書

・ジョナサン・スウィフト『ハックルベリー・フィンの冒険』
冒険譚としてだけでも充分に面白いが、
あちこちに無邪気さを装った社会批判がちりばめられている。
あれ? ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャが登場してるんですけど……?

・宮崎学『ヤクザと日本』
やくざの近代史。自分の日本史観に風穴ぐらいは開けたかもしれない。
あまりにさらっと読めてしまい、「新書」ってこんなものだったか、と訝しんだ。

・柄谷行人『終焉をめぐって』
歴史と文学の二つについての評論集。
村上春樹の心地よい違和感について解き明かされていて、痛快だった。
村上春樹ファンよりむしろ、シンパ的アンチ(?)に読んでもらいたい。
柄谷行人の切れのあるものの見方には、常に発見がある。

・大江健三郎『芽むしり 仔撃ち』
閉じ込め合い、空気を読み合ってと、生死を賭けた気の毒なサバイバルを行なうも、
個人の生死か、それとも、集団の生死か? それは子供も大人も同じこと。
どこまで逃げてもそこは、幾重に覆い被さった蟻地獄の中。
それを独りで行けというのは、死刑宣告なんだろうか?

・大江健三郎『奇妙な仕事』
実存主義の色濃い、大江のデビュー作。
初期の大江って読むと疲れるけど、これなんかさらっとしててそのエッセンスでギトギトで、
……なんだろう、自分はどの登場人物? 全部?

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