オノレ・ド・バルザック『グランド・ブルテーシュ奇譚』
光文社古典新訳文庫版をKindleで。
訳者は放送大学の講座でおなじみの宮下志朗先生。
人間模様を描きながらも多かれ少なかれ金がものをいうところが、
人間模様を描きながらも多かれ少なかれ金がものをいうところが、
バルザックらしくて面白かった。
表題作を含めて5作品、うち4作品が短篇小説で、
表題作を含めて5作品、うち4作品が短篇小説で、
いずれもストーリーは単純ながら人間描写が生き生きしている。
バルザックを読むとなれば、やはりこの語り口のスピード感、読ませる感じこそだ。
人物や心理の描写は大まかながら「ほらわかるでしょう」と想像させつ、
行動や駆け引きがさらに人物を浮き彫りにする。
ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』
こちらも、光文社古典新訳文庫版をKindleで。
土屋政雄訳。
あとがきによると難解な文体だそうだが、比較的読みやすかったのは訳者の巧手ゆえか。
屋敷に現れる幽霊と子どもたちの交流とは何か、幽霊は虚妄なのか。
謎が物語の中心に太く据えられているにもかかわらず、
謎は最後まで謎で終わり、ゆえに解釈は多義的になる。
読後の後味が、岡田利規『部屋に流れる時間の旅』を連想した。
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