新書版ではなく、ちくま学芸文庫版。
空間を区切り、装飾や機能によって用途や雰囲気を作り出す
という作業が建築である以上、
独特の精神世界や世界観を演出する必要のある宗教は、
その信条に一致した建築を志向する。
新宗教が、どのようにして、その世界観や思想と合一して
建築設計や都市設計を行ったかが、克明な調査で明らめられている。
宗教と建築の関係を論じて、議論は伝統宗教である仏教・神道の建築にも及ぶ。
特に、近代以降の神社建築における
木かコンクリートかを巡る議論は、近代と伝統がどう鬩ぎあったのか
知る上で、大変面白かった。
ナショナルなマツリの場として大正時代に建てられた明治神宮を基軸に
1940年の東京五輪が設計されたという事実は、
1936年の某五輪の実質機能と似通っていて非常に不気味。
植民地時代の朝鮮半島・台湾の神社も紹介されている。
アメリカのキリスト教右派の権化のようなモルモン教や、
タイのカオダイ教なども取材されていて、おもしろかった。
たぶん、建築雑誌の「カーサ ブルータス」より
遥かにお腹いっぱいになる。遥かに遠い話題だけど。
0 件のコメント:
コメントを投稿