書物の文字の流れてできた人が流れ流れて辿る人生(?)が綴られる。
途中、電車でその書物を読んでいたであろう人物の日常も挟まり、
そこにも、文字の流れてできた陽気な虚妄が混じり込む。
人生も文字のようにばらばらな原子となって流れ流れて百万回生きる、
それでは書物の語りが現実に溶けて生きるのと何が変わろう、
この奇妙な文学肯定は、味だとしかいえない。
文字がばらけてできた流れであれば、
もとの配列の謂いとしての文学を再構成できるんだろうか。
そこまで"作者の意図"が及んでいたら凄まじいものだが。
歌舞伎を研究する大学院生らしい饒舌にこじゃれた文体も、テンポよくて読みやすい。
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