東洋経済新社版で、2009年の新訳。
いつか読みたいと思っていた名著だが、新訳出来と知って借りた。
結果、2015年に読んだ本でもっとも面白かった。
市場経済は15〜18世紀イギリスのエンクロージャーと
それによる封建制の静かな解体に差し代わる新たな社会体制として、
土地を追われた浮浪民の貧困問題への対処とともに産声を上げた。
(それ以前、商品は事実上存在せず、
経済は市場ではなく互酬と再分配によって成り立っていた。)
スピーナムランド法により人は労働力という疑似商品化を一時的に免れたものの、
やがて産業革命の要請が、人を労働力、
土地を労働手段、資本を交換手段として疑似商品化させた。
商品化された人は、自己調整システムによって生活基盤を失った。
商品化された土地は、商品作物の生産手段となり、
全国市場の形成に寄与し、植民地主義への原動力となった。
商品化された交換手段である貨幣は、
世界経済における価値裏付けとしての金本位制において、
流通量の調整の機能不全によって保護主義、ブロック経済、
そして最終的には二つの大戦を引き起こした。
以上がごくごく大雑把な謂いである。
ポラニーはこの理論をきわめて実地的に検証している。
それゆえ、近代以前の封建社会やアフリカの部族社会の研究が、
近代の市場経済を一つの文化的な再分配体系であると看破する説得力を持つし、
第一次世界大戦における大銀行家の暗躍が
どのようにバランス・オブ・パワーシステムを掌中で動かし、
平和を引き起こすとともに戦争を引き起こしたか、という
近代史的な視座を含んでもいる。
ポラニーは結びとして、ロバート・オーウェンの思想を引き継ぐ形で、
ポラニーはこの理論をきわめて実地的に検証している。
それゆえ、近代以前の封建社会やアフリカの部族社会の研究が、
近代の市場経済を一つの文化的な再分配体系であると看破する説得力を持つし、
第一次世界大戦における大銀行家の暗躍が
どのようにバランス・オブ・パワーシステムを掌中で動かし、
平和を引き起こすとともに戦争を引き起こしたか、という
近代史的な視座を含んでもいる。
ポラニーは結びとして、ロバート・オーウェンの思想を引き継ぐ形で、
人、土地、資本の疑似商品化への制限を提言している。
具体的には、リバタリアニズムを批判した上での、
具体的には、リバタリアニズムを批判した上での、
国家による一定の制約と、国際協調だ。
原著はいわば第二次世界大戦終局期の1944年に発表された。
その後、金本位制はドル本位制へ形を変えて今も残っている。
土地はいまだに市場経済における一商品である。
労働力は小泉規制緩和の一環として流動化された結果、
生活基盤の弱体化と知識伝達の機能不全が昨今ようやく叫ばれている。
国家間ではブロック経済ではなく関税自由化が進められているが、
通貨切り下げ競争による価格競争力の押し付けあいが起きている。
国家による再分配システムが新自由主義的政策と世界金融経済の下で弱体化し、
原著はいわば第二次世界大戦終局期の1944年に発表された。
その後、金本位制はドル本位制へ形を変えて今も残っている。
土地はいまだに市場経済における一商品である。
労働力は小泉規制緩和の一環として流動化された結果、
生活基盤の弱体化と知識伝達の機能不全が昨今ようやく叫ばれている。
国家間ではブロック経済ではなく関税自由化が進められているが、
通貨切り下げ競争による価格競争力の押し付けあいが起きている。
国家による再分配システムが新自由主義的政策と世界金融経済の下で弱体化し、
世界の富の何パーセントをごくわずかな富裕層が保有している、
そのような事態は、まるで第一次世界大戦前の大銀行家の再来である。
オーウェン的な一定の政治的な制限が、世界単一市場に対してどのように可能か、
今こそ考えなければ、システムや枠組みそのものが私企業の手に渡り、
自己調整システムと同じ価格至上主義に生活基盤が押しつぶされかねない。
今こそ考えなければ、システムや枠組みそのものが私企業の手に渡り、
自己調整システムと同じ価格至上主義に生活基盤が押しつぶされかねない。
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