7.1.09

柄谷行人『マルクスその可能性の中心』

マルクス主義とは、マルクス誤解の総体である。──ミッシェル・アンリ

マルクスについての論ではあるが、全然「いわゆるマルクス」っぽさなんてない。
あるのは純度の高い哲学。マルクスとソシュールとヴァレリーとニーチェと……が、
貨幣、言語、藝術、道徳、という別々のものを語りながら、
実際には、概念と差異を超えるために同じことを考えていた……ということが語られる。
唯物史観と階級闘争がマルクスであるという固定観念を、マルクスそのものが覆すという、
痛快とも皮肉ともいえる試みこそが、この論文の醍醐味かもしれない。
唯物史観なんて、マルクスは一言も云っていないんだとさ!


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