4.10.09

フランシス兄弟『おいしいコーヒーの真実』、クリス・ペイン『誰が電気自動車を殺したか?』

・フランシス兄弟『おいしいコーヒーの真実』

飲食店の原価率は3割程度とされるが、コーヒーのそれはたったの2%ほどで、
焙煎やらを考えても付加価値が9割ほどにのぼるとなると、
それは付加価値ではなくもはや中間搾取だ。
コーヒーの仕入れ経路はネスレなど4社の寡占だ、というのも、
比較的知られた話。
この映画は、それがアフリカの貧困としてひどく災いしている実態と
フェアトレードの経路を探るエチオピアの農協のタデッセの活動を描く。

コーヒーを片手に(主にスターバックスで)くつろぎ、
バリスタやらカフェやらがそれをファッションとしてもり立てる姿が、
しばしば挿入される。
中間経路を省いた取引を探って世界中を出張するタデッセがしばしばその脇を通り、
両者が絡みあいつつすれ違う、その撮り方が象徴的だった。

ヨーロッパではよく見かけたものの、
まだ日本ではあまり見当たらないフェアトレードの製品。
安いことを善と考える短絡な消費者が
イオンやウォルマート(西友)を繁盛させる現状では、
フェアトレードを買い求めようと意識するのはまだまだ先だ。


・クリス・ペイン『誰が電気自動車を殺したか?』

上の映画がもの静かだった一方、
こちらは民放のドキュメンタリーのようによくしゃべる。

90年代、GMのEV-1を皮切りに電気自動車が製造され、
すでに実用されていたという事実を初めて知った
(いまだガソリンから抜け出せないハイブリッド式が
 最近ようやく出始めたぐらいだから、もっと先の技術なんだと思い込んでいた)。
そして、石油依存を特徴とする現在のエネルギー産業の構造を
大きく塗り替えうるという可能性は、
オイルメジャーにとっては脅威だった。
だから、ロビー活動によって電気自動車を殺した、と
だいたいこんな感じの映画だった。
アメリカの政治と大企業のべったりの関係の典型事例のようだったし、
技術を社会に結びつける、経営や世論や法といった枠組みが
いかに簡単に、その技術の首を絞めることができるのか、という実例でもあった。
そしてエンディング。やっぱりアメリカ万歳、自由万歳、でハッピーに終えちゃう辺りが
アメリカらしいというか。

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