郊外の形成とその思想。
自分にとって収穫だったのは、パルコの文化的なイメージ戦略だった。
おそらくその上位には現代思想ブームがあるのだろう。
古くはボードレール、そしてベンヤミンが明らかにした、商品的な生活が、
郊外にはうずたかく積まれて、新築された瞬間から黴び始めている。
それを更新しつつ、郊外は生き続ける。
また、郊外は都市との関係性(sub-urb)でのみ成立し、
それは都市の外部に厚みをもって広がる匿名性のベッドタウンであるということ。
そして、その有様が、戦後このかたの住宅供給の長い歴史の中で、
住宅や生活がブランド性を志向しておきながら
実際にはそうではなかったという本音の結末なのだ。
匿名の存在であることを多くの人が望んだ結果である、という
宮台真司の(すごく宮台らしい)指摘の似合う結末。
触れられていなかったが、この匿名の漸進に対応するようにして、
都心は急激に消費社会の発信源となっている。
郊外の顔のなさは、それ自体としての特徴でありながら、
やはり都心との対比によって捉えられる代物ではないだろうか。
また、ワンルーム=実家、という主従関係を
各個室=リビング、の拡張概念として捉える思考は、なかなか興味深かった。
新書を読んだのは久しぶり。あまりに読みやすくて2時間もかからなかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿