17.5.09

Adieu, ma mémoire.

自分の死せる魂の救済は進まず、
しかるべき情熱は、倦怠している。

バックミラー越しに見る過去は、
本来の姿より光きらめく幻想の調べ。
浸るには小さすぎ、しかも離れすぎた。

アルコールでもランボーでもいい、
谷崎や若合の情痴の果てでも黒い水脈の深みでもいい、
俺の感覚の束を引きちぎって、彼方へ遣れ。
ここか黒井千次でなければ、どもでもかまわないから。

失望せずに安住できる物語がどこにも見当たらない。
共同体に走る右翼も、貨幣とヘーゲルに呑まれた左翼も、
夢物語はどこまでも馬車に乗って。

打ち身がまだ痛む。
肋骨が折れてしまえばいいのに、押せば軋むだけ。

人を生半可にしか信用できない。
信じれば裏切られた経験が累積して、この感情を産んだ。

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