10.1.10

今村昌平『にっぽん昆虫記』

新と旧、男と女、売春婦と元締、都と鄙、
入れ替わり立ち替わりしながら身を立て、滅ぼしてゆく。
しかも、立場を変えて同じ科白が繰り返されるほど、組み立ては繊細。
ここまで濃密なのは、そして、性へのしがみつきは、
今村昌平ならではなのか。素晴らしかった。

信子との最中に唐沢が入れ歯を落とすシーンは
思わず眼を背けるほどの異彩を放った。
これまで見た映画のシーンの中で、
最もグロテスクだったかもしれない。

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