18日
八時過ぎに起き、身支度をしてすぐにユースへと向かう。
一時間ほど待ってからようやく二泊分のベッドを確保、料金を支払う。
建物の真ん中の吹き抜けスペースをエレベータが四階まで通っていて、
とてもゆったりしたユースだった。
荷物を宿から持ってきてロッカーに突っ込み、観光へ。
グランヴィアで市があるというので、メトロで向かう。
駅を出たそばから露店が軒を連ね、どこまで行っても果てずに、
サンダルやら安そうな衣服やらサングラスやらその他もろもろを売っていた。
スリやひったくりに注意しながら、店の連なるがままに歩き、
友人は中世の祭壇画のミニチュアのようなものを買っていた。
正午を過ぎて、このまま徒歩でプラド美術館まで向かおうと、
手許の地図と実際の通り名の標示を交互ににらめっこしながら、
あちこち行ったり来たりしながら、とうとう方向がわかり、
延々と歩いた末、なんと真逆の果てに行き着いた。
すでに一時前で朝食もない空腹には勝てようもなく、
スペインにしては高い12€のコースの店に入った。
もちろん飲み物はワインで、グラスに注がれた赤を、
喉の渇きから、一気に飲み干してしまった。
その後、料理とともに瓶の2/3ほどを飲み、
おかげで、メトロに乗ってプラド美術館に着く頃には
酔いが回って眠たくなってしまい、
せっかくのエル・グレコやルーベンスなどの名画の数々を前に
観賞に集中できなかった。
それでも、ボッシュの絵の素晴らしさには目を醒めさせられた。
六時半、友人との待ち合わせで美術館入り口に戻ると、
地球の歩き方ヨーロッパ版を盗まれたと云う。
入り口の空調設備の裏の隙間に荷物まとめて隠し置いていて、
戻るとなくなっていた、とのこと。
それは盗んだのではなくて持って行かれたというものだが、
取り返さねばと、受付に行ったりしたが、ないとの返事。
スペインにはこれから数日いるのに、そのための手助けが不意になくなったので、
フナックでロンリープラネットでも買おうかということも考えたが、
ないならないで仕方ないと、美術館を出てちょうどあった観光案内所で
無料の地図やガイドをもらう。
そこからメトロに乗る途中、妙なおっさんに、
日本人ということで日本人サッカー選手の名前を挙げられ、
脚を掛けてきたが、気をつけていたからか財布を掏られはしなかった。
ユースに戻り、夕食に街をうろついてみる。
昨晩に友人がラーメンを食べた界隈は中国人街で、
中華料理屋や公司が多かった。
結局、昨晩の友人と同じ店に入り、
野菜と魚の入ったラーメンを食する。
量は多くなかったが、久しぶりのアジアの味にほっとした。
ユースに戻り、汚いシャワーを浴びても
二段ベッドに寝転んで上板の落書きを眺めていても、
空いている二つのベッドを埋める人物は入ってこない。
珍しいことに書き物机があったので、
持ってきていた便箋を取り出し、待ち人に手紙を書く。
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