・篠田正浩『桜の森の満開の下』
脚本に富岡多恵子、音楽に武満徹や渡辺晋一郎と、
知らずに択んだながら錚々たる顔ぶれが制作に揃っていることに驚く。
原作から、桜の狂気をどう出すかが見物だった。
京すら土色の多い、全体としてくすんだ色遣いの中で、
桜の森(と女の衣装)だけが生気を帯びて鮮やぎ、確かに狂いそうだった。
幻想的な撮り方で映画全体を包んでしまわず、
生々しさをそこかしこに露骨に見せて進行していったので、よかった。
・阿満利麿『宗教は国家を超えられるか』
幕末の国学から明治体制の確立まで、
どのようにニッポンの精神性が作られたかについて。
いくつもの新智識を獲得できた。
以下、メモランダム。
○桜を日本の象徴として特権的な地位に挙げたのは、本居宣長。
○明治維新後、主に在野からの天皇親政体制への少なからぬ反撥。
○国家神道という新宗教を「宗教ではなく、
伝統ある日本の習俗」として浸透させたプロセス。
○新政府は国会開設や天皇制の行政システムを、西本願寺に試験的に導入した。
それゆえ、宗会(=議会)や門主(=天皇)が置かれた。
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