9.11.09

J.L.ボルヘス『永遠の歴史』、ポール・ニザン『アデン、アラビア』

・J.L.ボルヘス『永遠の歴史』

論集。永遠というものがどう捉えられ、描かれてきたかの表題作より、
「ケニング」および「循環説」「円環的時間」が面白かった。
面白かった、というよりむしろ、知識と示唆に富んでいた。

「循環説」は、まぁ、いわゆる永劫回帰説だ。
世界が有限個の原子で構成されている以上、
その組み合わせもまた有限であり、
よって世界の瞬間瞬間は、他のすべての組み合わせが過ぎ去った後、
再び現れる、という、途方もない時間を言い包めたような説だ。
人は歴史を、その中身の因果応報の連続、として捉えがちだ。
人が生きるせいぜい数十年で、歴史なんてそんなもんだから。
でも、その流れ方一般、捉え方、
うまく折り合いを付ける方法、のようなものを
考えるとき、いやに薄寒い心地に、
空っぽな宇宙の果てを考えるような気分になる。
これはなんなのだろう。
涅槃なのか、ニーチェ的な超人なのか。


・ポール・ニザン『アデン、アラビア』

パリを脱出して、アデンへ。
この徒労じみたうんざりする旅程から見出した人間世界に
彼はめちゃくちゃ怒っている。
大人に対する、若者の怒り。
この本を、「でも」をつけずに読めること、
それこそが人間らしさなんじゃないかと、思った。
自分は今のところ、大丈夫。ニザンに加担できる側だ。

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