・ベルトルト・ブレヒト『三文オペラ』
舞台は産業革命後のロンドン。
少し前に読んだ『ドラキュラ』と同じ時代と舞台。
『ドラキュラ』がアッパーミドルを中心に展開されたのに対し、
ブレヒトは乞食たちを題材に採った。
現実を視るという意味では、明らかにブレヒトのほうが
嗅覚があるように思われる。
本作は叙事詩だ。これは一読すればすぐに知れる。
すぐに把握できるキャラクター同士が
内面の葛藤なくストーリーに翻弄される。
おかしいのは、それが「当世」の乞食たちである点。
ブレヒトといえば「異化効果」、
それはあまりよくわからなかったが、
妙ちくりんに神格化することで現実に新鮮味を与える
ということなら、そうなのだろう。
社会批判の鋭さに唸った。
「この世の持てる奴らは、貧困をつくり出すことはできるくせに、
貧困を見てはいられない」(p.160)とか、
「我が国の裁判は賄賂なんかで動かせません。
どんなに金を積んだって、あの裁判官たちが正しい判決をするように
買収することはできませんよ」(p.164)とか。
百年後の今もそうじゃないですか!
・UNIQLOCK
偶然見つけて惹かれたので、このブログにも載せてみた。
バレエじみた大振りな手の動きと廻転が多くを占めるが、
面白いのは、二人以上での踊りで腕の動きが連結するとき。
一人一人に、あるいは全体に置かれがちな焦点を、
一人一人の間へとずらす、この面白さに、素朴に驚かされた。
なおアーカイヴにはパリのバージョンがあり、これも魅入ってしまうが、
多くがエッフェル塔とノートルダムなのには、
ステレオタイプ差が見え隠れして、残念だった。
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