・フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク『善き人のためのソナタ』
東ドイツの作家たちと検閲を巡る人間ドラマで、
面白かった。
結末が秀逸。
・ムラーリ・クリシュナ・タルリ『明日、君がいない』
月並みの模倣を固有と信じて疑わないことが青春の醜悪さだと、
柄谷行人は初期評論で云っていたような気がする。
だが、青春に悩むべき主題は無数にあるし、
それを経てこその発達なのだろう。
原題は『2:37』。作品を観ないことには何もわからない定量。
どうして自殺したのが××なのか。
「悩み」が人生の主題ということ? 生きるための殻だということ?
でも、そんな一般論の逆説で片づくような映画ではない。
木々に縁取られた空を見上げてぐるぐる回るシーンは、
パゾリーニの『アポロンの地獄』(だと思うんだけど…)を思い起こさせた。
エリック・サティの『ジムノペディ』の繰り返しの閉塞感と相俟って、
問いは深い。
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