徹頭徹尾が男女の対話になっていて、
行間を読むという小説の愉しみが出歯亀的面白さと渾然一体。
結末の、物語全体の結論の持ってゆき方は、
小説論のようになっていながらも、
男女の奥ゆかしい駆け引きでもある。
会話そのものが実際になされたのか、
それともいつわりだったのか、といった塩梅。
その両極端のどの中間点をとっても解釈できそうな
巧妙な物語、なのかもしれないし、
出来事ではなくそれを解釈で濾過したものとしての話し言葉の堆積だから
そのように宙ぶらりんに事実から乖離できる、のかもしれない。
不思議な、しかし心地よい、見知らぬ表現型式だった。
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