14.8.10

レーモン・クノー『地下鉄のザジ』

主人公以外の登場人物もそれぞれ際立った群像劇で、
口語の多いドタバタとスピード感が読み心地よい。
フランス語の言葉遊びの部分が、邦訳ではかなり隠れるのは残念。
作品の発表が1959年ということもあり、
種々を笑い飛ばしてしまう(作者や書く行為をも)態度が、
庄司薫的な文壇に対する挑発行為だったのか、とも思った。
実際、訳者の生田耕作は後書きで、実存主義と抵抗文学で
重苦しくなった読書界に非常に受けた、ということを書いている。

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