前者。鹿島茂っていう口のずれた顔が特徴的なフランス文学者の本。
まぁ、ブシコーっていう人がパリ左岸のボン・マルシェを
いかに創立し、大百貨店に育て上げたか、というお話。
現代の小売業のみならず企業の雇用形態が、ブシコーによって発明され、
それが現代とほぼ同型を保っているというのがすごい。
私の留学中ボン・マルシェとの関係はと云うと、
帰国の飛行機に乗る前日にぶらっと立ち寄って
お土産のリクエストのあった紅茶を買ったぐらいだ。
その後、ほど遠からぬ場所で日本人カップルにボン・マルシェの場所を訊かれ、
あのでかい白い建物がそうです、と答えたのを憶えている。
後者。文学がかつてほどの隆盛を失って久しい、という現実を再確認。
タイトルほど『蟹工船』は関係ない。
編集者がブームにあやかろうとして銘打っただけだろう。
現実を描く全く新しい物語が書かれたわけでもないという現状は、
「プロレタリア文学」という告発兼プロパガンダが
文学という形式をとった過去と比しても、
やはり文学の衰退の一つであることは間違いない。
ところで、その文學界の裏表紙をめくったところにエッセイが載っていて、
源氏物語千周年の馬鹿騒ぎを揶揄していた。
肯首しつつ読んだ。読んだ、っつーほど長くないけど。
まぁ、はっきりと年代も分からないのに、
大体千年だろうって云って祭り上げて、
でもほとんどの人が読んでもないし持ってもないし内容もあんまり知らん、てんじゃ、
そのトンマさは皇紀二千六百年とかわんないね。
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