・亀井亨『病葉流れて』
こういうせせっこましい堕落論はあんまり好きじゃない。
後半部を欠いた大島渚の『青春残酷物語』みたいだ。
・成瀬巳喜男『浮雲』
『鰯雲』とともに戦後の、社会がたち直ろうとしていた時期の話にして、
自分をすっかりと虜にしてしまった。
なんでこんなに人間の愛憎を表現するのがうまいんだろう。
話は、コンスタンの『アドルフ』のようで、
もう関係はこじれてるんだけど結局別れられずに
ずるずると舞い戻っちゃうというやつ。
だが、この作品で凄いのは、終盤で、そんな関係で落ち着いて
不思議な仲として短い幸せを摑みかけるという
微妙で繊細な心情を織り込めたところじゃないかと思う。
天才だなぁ、とつくづく思った。
それと、やはりカタルシスとしての死は、最大限の効果としてこそ生きる。
(中原昌也の対極、って感じ?)
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