府立大と市大の合併案を述べたことに関して。
彼の持論は地方分権で、霞ヶ関を諸悪の根源としているが、
伊丹空港廃止論にしろ大学合併にしろ、
いまはとにかく不財政の支出抑制だけに頭が行っていて
そのお眼鏡にかなったそこそこの建前でしかないような気がする。
ビルト&スクラップではなく、スプラップ&スクラップなので、
財政支出は短期的に抑制できても、
間違って投資分まで削ってしまいかねず、
長期的展望はあまり望めないように思われる。
伊丹は関西、神戸を差し置いて名実ともに大阪の空の商業玄関口だから、
それをうっちゃって利便性の悪い関空を持ち上げようとしたところで
中部空港と羽田=成田空港に水を空けられるばかり。
関空をこんなへんなところに作る羽目になった元凶の
国土交通省を攻めるなら、まだ地方分権論者として一貫しているのに。
両公立大学合併にしても、競争率を高める意図にしろ予算削減にしろ、
無益なところに頭を突っ込もうとしているように思われる。
地方分権の観点で云えば、単なる総合大学ってんじゃなくて、
もっと大阪独自の大学にするとかあると思う。
なぜそんな抽象的なことを云うのかというと、
それは、現在の市大も府大も、京大-阪大-神戸大-市大-府大、という
没個性的な偏差値順に甘んじて択ばれているだけの存在なので、
人材育成を、その所在地・設置者の地方自治体のための投資であるとは
一概には云えないのだ。
(もっとも、その最悪の例が、吾が母校たる東北大学だと私は思う。
仙台の産業的な自立性は無いに等しく、いわば都心部の出先機関だ)
ちなみに、同じ論理は医学科にも敷衍できる。
医学科の偏差値が他の学科に較べて遥かに収斂されているのは、
医学科受験が全国区だからだ。
医学生のうち、卒業した大学所在地附近にとどまって医業を始める者の割合は、
地方部であるほど少ないと聞く。
だから、各都道府県が金を出し合って自治医科大学なるものを設置したり、
最近では地方枠を定員に組み入れたりと、苦肉の策を出しているのだ。
公立大学は医学科設置維持費用を、
その地方の医者養成という投資ではなく
捨てている(あるいは都市部に上納している)といえる。
偏差値の序列に搦めとられただけの大学では、
医学科のみならず、大学そのものが個性を出し得ない。
そして、偏差値という全国区で学力云々をほざいても、
それは地方分権ではなくて、中央集権制度下の地方の足掻きだ。
大阪府あるいは大阪市に人材を根づかせるための議論がされないから、
市大・府大が単にずるずるとあって金を食うから駄目、という短絡な話になるのだ。
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