1995年の作品という。日本が閉塞の真っただ中にある時代だ。
大和(大沢樹生)の目力は、居場所のない彷徨の中で何を見据えていたのか。
かつて清掃人として勤めて馘になった浦安の楽園を遠巻きに、舞台は延々と淡々と廻る。
ふざけながら、飽きながら、とぼとぼ歩いてゆく切なさが、見ていて重かった。
とうとうペースペーカーの電池が切れて死んだカオル(嶋田加織)の身体を
抱き起こそうとしては地に崩す遠景、背景は海の潮。切なかった。
約束が叶ってゴミ箱に捨てられたカオルの満足そうな表情は
何に満足していたのか? 生きたこと?
カオルの生い立ちは語られない。だから一層、胸を打った。
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