兵役と恋の終わりという同じ題材を求めた映画として、
ジャック・ドゥミ『シェルブールの雨傘』が連想されるのは当然だろう。
だがこの題材は、『戀戀風塵』という映画の終わりを彩るだけで、
映画全体を貫く主題ではない。
主題は淡々としたホンとワンがお互いを意識する淡さだ。
どうしてどうなるのか? ただ同じ田舎で同じように台北に出たから。
必然だ。あるいは、運命と呼んでもよいかもしれない。
そうやって考えると、あらゆるところに、
こういった淡々と流れる因果のような運命がある。
ワンの祖父がよくつぶやく諦観がそうだし、
父親の兵役の話や、勉強が無駄になった話、
それらはワンに何かを示唆するでもなく淡々と語られるだけ。
『シェルブールの雨傘』と比較するとき、この淡々とした諦観が
いわゆるアジア的な感覚として際立つ気がする。
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