原題は « 5×2 » (Cinq fois deux) 。
主題として置かれるようにして、夫婦の離婚シーンから始まる。
そこから時系列を遡って、4つの時節が描かれる。
倦怠、出産、結婚、出会い。
遡るごとに互いの眼差しが生き生きとし、笑みに溢れてゆく。
だから映画を観た直ぐ後は(出会いの綺麗なシーンだから)、
ハッピーエンドっぽく感じられる。が、
行く末はすでに知れているから口許が歪む。
ここに、オゾンのなんともいえない皮肉と諧謔を感じた。
ジルとマリオンが出会うシーンでは、ジルの彼女のヴァレリーが出てくる。
二人はすでに4年の仲の倦怠で、
性交中のヴァレリーの、天井を仰ぐ冷めた眼差しが、
後に(映画では冒頭に)ジルとマリオンの間で繰り広げられる。
この連鎖はあわれ。
視線の反らし、が印象的な映画だった。
離婚後のシーンではマリオンが極力視線を避けるし、
出会いのときは逆に、ジルの顔を盗み見るようにすがりつく。
他のどのシーンでも、視線の交わりは仲を象徴して綿密に描かれていた。
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