11.12.10

ビクトル・エリセ『ミツバチのささやき』

科白と音楽を最小限に切り詰めて、動きをどこまでも排し、
シーンを淡々と繋げてゆく、
そしてそのどのシーンも単純な構成なだけに、
色も線も鮮やいで美しい。

はしゃぐ子供らがぐるぐると焚火を飛び越える映像、
水際に怪談のような顔が照らされる映像は、いうに及ばず、
毒茸を踏みつけるところ、
銃声とともに光の点がまたたいて果てる景色、
どれも短い一シーンなのに深く尾を引く。
表情の揺れがおずおずと心境を語る。
このさまがとても繊細でたおやかだった。

カットは多いのかもしれないが、それを感じさせない静謐さ。
時間が過ぎ去ってゆく心地がしない。

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