穂村弘の第三歌集。
穂村弘宛にひたすら手紙を送るまみの言葉、が歌になっている、という設定。
言葉=短歌は現にあるのだから、まみが架空か実在か、それはどちらでもよい。
でも、ぜひ実在してくれたら好いのに、とは思う。
等身大で舌足らずでとりとめのない、だが鋭利に心えぐる、
十代後半の詩人のまみ、は確実に歌に透けて揺らいで、影が見えてくる。
タカノ綾の、艶かしくも肌透きとおる挿絵が、歌とよくマッチしていて好い。
不思議だわ。あなたがギターじゃないなんて、それはピックじゃなくて舌なの?
と、はじけるような今に相手に肉薄する歌や、
それはそれは愛しあってた脳たちとラベルに書いて飾って欲しい
のように、いとおしい今がますます切なくなってしまう哀しみの呻きまで。
難解な歌も交えながら、しかし感覚感触で読み捉えてゆける。
三十一音の一行詩ならではのスピード感も、現代短歌に伍しては抜群。
0 件のコメント:
コメントを投稿