・伊丹十三『タンポポ』
テーマはずばり美食。
で、ストーリーの破天荒さはもちろんコメディ。
いくつかの挿話があるのが面白かった。
特に、食にまるで精通していない重役たちのエピソードと、
本篇でのものごっつう舌の越えたホームレスたちが
対比されているようで、笑えた。
数日前に観たものを、感想の書き忘れのため、ここに記す。
・谷崎潤一郎「鍵」
さて、どちらが嗾けた死亡遊戯なのか。
谷崎って、後期で「陰翳礼讃」風になってしまうまで
ほぼすべてと云ってよいほど、立場の逆転、の過程の物語だが、
これもまたそうだった。もちろん、面白く読んだ。
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急に実家に帰らざるを得なかったので、
中学高校時の国語科教材『国語便覧』を参照してみた。
谷崎の項は、「女性の官能美」「耽美派」とある。
はっきり云って、中高生には刺戟の強すぎる谷崎を
ぼかそうぼかそうとしてヘマをしている。
短篇「小さな王国」なんかは、官能美でも耽美派でもない。
谷崎は何を隠そう、「日本版SM」「倒錯」が正しい。
『細雪』『陰翳礼讃』で谷崎を代表させておくほうが
PTA的にも安心、というだけにすぎない。
ここを余すことなく中学で教えれば、
絶対に国語好きなんか増えると思うねんけどなあ…て、
親御さんどもが許すまいなぁ。
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